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「旧広島陸軍被服支廠」3棟保存へ

2021/06/08


広島市南区にある、「旧広島陸軍被服支廠」は、1945年8月6日に被爆し、今残る建物としては最大級です。

1913年に建てられたこの建物は、旧陸軍の軍服や軍靴など、兵隊が身に付ける小物や付属品等を生産、修理、保管、供給する施設でした。爆心地から南東2.7キロメートルにあり、爆風による損傷を受け、原爆投下直後は、臨時の救護所として使われました。現在も、西側の3棟の鉄扉のいくつかは被爆時の爆風で変形したままとなっています。

爆風によって変形した鉄扉

広島県は現存する4棟のうち、3棟を所有しており、県はこれまで「1棟を保存し、2棟を解体する」意向を示していましたが、被爆者団体などから保存を求める声が上がり、県は今年5月19日、「耐震工事をした上で、全3棟の保存を検討する」方針を固めました。震度6~7の地震でも倒壊せず、内部を見学するようにするためには1棟あたり約5億8000万円かかると見込んでいます。


さらに、「核兵器の非人道性や戦争の悲劇、愚かさを伝える平和拠点」として活用していくため、国が持つ1棟についても保存を働きかけるよう求める声があがっており、また、全4棟の「国の重要文化財指定」に向けても、国や県、市で検討を行い、調査が進められています。