お好み焼きに隠された、生きる力
2016/06/06
広島市内を歩くとよく目にするお好み焼き屋。
店先の“のれん”の隙間から、ソースの焼けるいい匂いが漂い、歩く人の食欲をそそります。
そんなお好み焼きのルーツをたどると、実は戦後の人々の“生きる力”が隠されています。
戦後食料難に苦しむ人々。懸命に食べものを探し求めていました。
小麦粉を水で溶いて焼き、ねぎなどをのせ、ソースをかけて食べる子供達に人気の「一銭洋食」が人々の目に止まりました。
かさ増しをするため、それに安値で手に入るキャベツをはさんで食べ始めたのです。
また原爆投下直後、広島の町には鉄の板が転がり、それらを鉄板として使いました。
今多くの人に愛されるお好み焼きは、食料難の時代、必死に生き抜こうとした人々の生きる力が創り作り出したのです。
環境省によると、日本の現在の年間ごみ総排出量は東京ドーム約120杯分、一般廃棄物の処理に要する経費1.8兆円だそうです。
豊かな国、豊かな時代が生み出した数字です。
何も考えず、限りある資源を使い、そして捨て続ければ、いつかその代償が我が身に降りかかる日がくると思います。
今、欲しいものが簡単に手に入る一方で、「大切にする心」を簡単に手放していないでしょうか。
環境の母と呼ばれたケニアのワンガリ・マータイ博士は「未来は、ずっと先にあるわけではありません。『未来』は、『今』にあるのです。」と。
戦後、人々は命を大切にするため、食べ物を大切にし“モノ”を大切にしました。
今があるのは戦後の懸命に生き抜いた人々のおかげであると思います。
そんな人々が今の私たちの暮らしを見たら、何と思うでしょうか。私たちが常に心がけ、問い続けていくべき「テーマ」かもしれません。