ACTIVITY 主な活動

学生平和意識調査

学生平和意識調査

概要

調査頻度

1994年から、ほぼ年1回の頻度で調査しています。

調査場所

中国地方内の大学キャンパス内。

調査対象

中国地方の大学・短大・専門学校生など、男女学生が対象。

調査テーマ

次代を担う、広島を含む中国5県の学生を対象に、平和に関する意識啓発とともに、平和意識の調査を継続的に行っています。

調査の役割

目的

1994年から、広島県を含む中国地方の男女学生が実施してきた平和意識調査の累計は、約4万人に及びます。
この目的は、①学生の「平和」や「核兵器」に対する意識を調査し、内外に発表すること、②学校の友人にこのアンケートを通し、対話によって「平和」や「核兵器廃絶」に対する意識の向上と変革を目指す、③最終的には市民社会の草の根の運動の一つとして「核兵器のない世界」への連帯を強めること、を目指します。
ここでは、各年の調査結果をグラフ等で紹介します。

識者の講評

講評 広島大学 平和センター 川野徳幸センター長(2020年7月)

広島大学 平和センター 川野徳幸センター長

今回は、過去15年の調査結果も併せて提示された。「核兵器は廃絶可能か」との設問に「廃絶は可能」と回答した割合が2016年に突出している。これは同年5月のオバマ米大統領(当時)の広島訪問など社会的に核兵器廃絶への機運が高まったことが影響していた可能性がある。

また、「あなたは被爆体験を聞いたことがありますか」との設問に「ある」「あるが記憶にあまりない」と答えた人が、合わせて87%に上ったことに注目している。昨今の高齢化による被爆体験の語り手の減少が進む中で、高い割合で推移していることは、もともと平和に対する意識が高い人がアンケートの回答者に集中していたと考えられると分析できる。

新型コロナウイルスの感染が拡大している中で、状況に左右されることなく、これまでと同じ設問で調査を継続したことは評価できる。インターネットのみによる調査は初の試みだったと思うが、こういう形でも調査は実施できることを示した意義は大きいだろう。

アンケートで問うことによって、人々が核兵器廃絶や核兵器禁止条約などについて、知識を得たり、視野を広げたりするきっかけになる。その意味で、今後も調査を続けていくことに期待したい。

講評 広島大学 平和センター 川野徳幸センター長(2019年7月)

広島大学 平和センター 川野徳幸センター長

この調査は、平和に対する意識啓発を、毎年1000人余りの学生に促している点で大きな意義があると感じる。私は高齢化が進む被爆者に調査を行う機会が多くあるが、対象が同じ人になりがちであるため、どうしても集計結果が限定的になる。若者の率直な声には重みがあるので、今後も有益な調査を続けてほしい。

「核兵器の使用の可能性」について、76%が「必ずある」「ありうると思う」と、核戦争勃発の可能性があると回答している。昨今の核を巡る国際情勢に、先行きの見えない不安が増大していることを踏まえると、妥当な数値ではないだろうか。

調査で特徴的なのは、「核兵器の廃絶が可能」と考える人が15%に達している点である。核なき世界を願う被爆者でさえ、核廃絶への道のりが容易でないことを理解するがゆえに、その実現可能性には否定的な見解を示す人が多い。期待値を含もうとも、核兵器の廃絶や軍縮に肯定的である学生が少なからず存在することに、一筋の希望の光を見いだす思いがする。

また、「核兵器止条約に署名しなかった日本政府の姿勢を支持するか」との設問に対して、「わからない」が54%に及んだ。この問題を判断するには、日米安全保障条約の内容や唯一の被爆国である日本の立場など、複雑に絡み合う要因を、一つ一つ整理しなければならない。日本の針路に関して、若者が真剣に考えを巡らすことができるよう、行政やNGO等がより情報を開示すべきであろう。

そして、被爆体験を正しく継承するためには、伝える側の思いを受け止める受け手側の土壌を築くことが不可欠である。ゆえに、義務教育や高等教育で平和科目に一層のカを注いでいくことが求められるだろう。

今の学生世代には、2年前にノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の名称さえも知らない人がいるかもしれない。平和運動は常に”記億の風化”との戦いである。だからこそ、創価学会学生部には、核兵器廃絶の実現へ、継続して思考する場を広く一般社会に提供し続けてほしいと期待する。

講評 広島市立大学 広島平和研究所 福井康人准教授(2018年7月 ※肩書きは当時)

広島市立大学広島平和研究所准教授 福井 康人 氏

今、自分が学生であればこの意識調査にどのように回答していたであろうかと想いを馳せながら、中国地方の学生による平和意識調査結果を拝読させて頂いた。回答した学生の意識に明らかに大きな影響を与えた背景として2つの出来事があげられ、具体的には2016年1月及び9月の2回に亘り北朝鮮が強行した核実験に代表される核兵器開発、更にこれまで長年に亘り切望されながら漸く本年5月に実現したオバマ元米国大統領の広島訪問である。 広島を含めた西日本が射程内に入る弾道ミサイル実験も相俟っての結果と推察されるが、今後、戦争・紛争で核兵器の使用がありうるとする学生が59%に加えて、必ずあるとする学生が26%であることから、実に合計8割以上の学生が核兵器の使用による不安感を感じていることになる。被爆体験を有する広島市が位置する中国地方ならではの歴史的背景もさることながら、この意識調査からも北朝鮮による核兵器開発が学生にとっても身近な脅威となっていることが窺われる。

また、核兵器の存在について、如何なる場合も認めないとする学生が61%であり、自衛目的の使用を認めるとする学生が30%であることから合計9割の学生が核兵器を包括的または部分禁止すべきと捉えていることになる。これに核軍縮は可能とする学生が50%及び核廃絶は可能とする学生が26%としていることから、全体で8割弱の学生が実現可能であると期待している事実と併せ読むと、核廃絶を目指しての核軍縮が重要な政策課題であることを我々に改めて再認識させるものである。

こうした調査結果は学生平和講座に代表される中国地方での地道な平和教育の成果でもあるが、オバマ元米国大統領広島来訪も少なからず影響を与えたものと思われる。更に、今後も各国首脳が広島・長崎を訪問すべきと思う学生が83%と8割の学生が被爆地外交の推進を支持している。これはともすれば停滞気味の核軍縮を巡る厳しい国際情勢の現実に翻弄されがちな中で、今後更に多くの各国首脳が被爆地を訪問し、核軍縮の重要性を認識することにより着実に核軍縮が進展していくことが期待される。