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学生平和意識調査

学生平和意識調査

概要

調査頻度

1994年から、ほぼ年1回の頻度で調査しています。

調査場所

中国地方内の大学キャンパス内。

調査対象

中国地方の大学・短大・専門学校生など、男女学生が対象。

調査テーマ

次代を担う、広島を含む中国5県の学生を対象に、平和に関する意識啓発とともに、平和意識の調査を継続的に行っています。

調査の役割

意図

1994年から、広島を含む中国地方の男女学生が実施してきた平和意識調査は、被爆70年を迎えた2015年で第20回目を数えました。
昨年は、2015年6月1日~7月13日にかけて、中国地方の5県の大学・専門学校等に通う学生を対象に実施。1019人から回答を得ました。
ここでは、調査結果の一部をグラフ等で紹介します。

識者の講評

「中国学生平和意識調査」へのコメント

城 忠彰広島修道大学法学部教授 城 忠彰

本年は被爆・終戦から70年を迎え、一つの節目となる中で第20回の「中国学生意識調査」が実施された。12項目にわたる設問の調査結果を踏まえるといくつかの特色が指摘できるだろう。第1に、原爆投下の事実認識に関する設問1につき、広島に原爆が投下された日への正答は今回72%と高かった(長崎については67%)。これは奇しくも被爆60周年の時期の第9,10回調査と同じである。おそらくはメディア等による時宜的な報道の頻度を反映しているものと思われるが、このことはまた、総じて平和構築の世論や意識の向上を図るためには、たえざる情報発信が大切であることを再認識させられる。その意味で、大学生が主体的に企画し20年以上にわたってこの種の調査を継続していることの意義は大いに評価できる。

第2に、核兵器の違法性や将来の核廃絶に関することである。まず「原爆投下をどう考えるか」を問う設問3では、52%が「許せない」と答えている。これに対し、「やむを得なかった」は11%、「正当であった」は2%と少数であり昨年比で微減している。ちなみに最近の米国での世論調査では、44歳以下の若い世代で「原爆投下は誤りであった」と考えるものが増加し(18-29歳で45%、30-44歳で36%)、「正しい判断であった」と回答した45歳以上より上回っている結果が出ている。被爆国の青年の大多数が考える「許せない」と接近していることが興味深い。「核兵器の存在についてどう考えるか」を問う設問7では、「いかなる場合も認めない」が70%とここ数年より高い数値を示し(女性では78%とさらに高くなっている)、反対に「自衛の手段としてのみ認める」は22%と減少している(昨年は25%)。また、「核兵器は廃絶可能と思うか」を訊ねる設問10では、「可能である」が15%と前回より2ポイント減り、「核軍縮は可能」が50%と逆に5ポイント増加している。これは近隣国の核軍拡路線への危惧が影響していると考えられるが、いずれにせよ6割以上の青年が核軍縮・廃絶への希望を持っているわけで心強い。今年開催された核拡散防止条約(NPT)再検討会議や「国連軍縮会議」(広島市)での議論に見られるように、核兵器保有国の根強い反論はあるものの、「核の非人道性」の観点から核兵器禁止条約の締結をはじめ、核廃絶に向けた何らかの法的規制が必要であるとの国際世論が強固に醸成されつつある。核軍縮や核廃絶を志向する青年ひいては国民の声は、こうした動向に一層弾みをつける原動力になるであろう。

第3に、今回の調査では、「昨今の閣議決定で話題になっている集団的自衛権の行使に関し賛成か反対か」という野心的な設問11が追加されたことである。調査当時、衆参両議院で白熱した審議が展開されていた安全保障関連法案に対する姿勢を聞く質問項目であるが、対象を若者に絞った調査はユニークであり、それなりの意義を持っていると思料する。結果は、「賛成」が18%、「反対」が34%、「よくわからない」が45%であった。国会の議論の核心部分は、我が国が従来の個別的自衛権に加えて、国連憲章51条に規定する集団的自衛権を行使することは、日米同盟を重視し憲法9条の枠内での解釈変更として是とするか、「違憲」であり到底許容されないと考えるかである。反対が過半数を超える一般の各種世論調査と比較して、本調査では「反対」が3割強にとどまり「わからない」が半数近くあったことが注目される。11に上る安全保障関連法案は、戦後70周年にして「歴史的転換点」を迎えたといわれているが、これに対して自分なりの意見を確定できない青年層がきわめて多いということが浮き彫りにされている。間もなく選挙権の行使が18歳以上の若者に拡大されようとしている中で、気懸かりといえば気懸かりである。

ともあれ「中国学生平和意識調査」は今回で20回目を迎えた。同一の質問を長期にわたって継続し実施年ごとの比較分析を行うことは大いに参考になるし、今回のように新機軸を打ち出した設問も興味深い。たとえば今回は集団的自衛権に関する以外に「戦争・被爆体験継承の必要性」に関する設問12が付加され、88%が必要と答えている。また、同種の調査が、中国地方以外でも実施され、それとの比較による有意差の検証も待望されるところである。いずれにせよ調査活動にあたった学生諸君自身にとっても、調査に協力した学生にとっても、平和問題への取り組みの一助になったものと確信したい。