1970年代から平和・文化・教育に関する講演・講座を行ってきた広島創価学会。「平和の心・ヒロシマの心を後世に残していきたい――」との強い思いから、1989年より“広島学講座”をスタートしました。青年が企画・運営をする伝統の連続平和講座となり、各界の識者が青年のために、そして未来のために講演を行っています。
被爆体験はもちろんのこと、文化がもたらす人間性への問い掛けから、世界の識者が語るグローバルな話題にまで多岐にわたるテーマで講演が行われ、あらゆる角度から平和の心を発信し続けています。
(役職名・肩書きは当時。)
2022年5月29日、第185回「広島学講座」を広島池田平和記念会館で開催しました。
ノルウェー・ノーベル委員会副委員長を務めるアスラ・トーヤ博士と、「国際平和と理解」理事長のアレクサンダー・ハラン博士が、「核軍縮の現状と核兵器禁止条約の役割」と題して講演しました。
ハラン博士は、「世界が核兵器使用の脅威にさらされる状況の中で、池田先生の『SGIの日』記念提言は平和への重要な指針になる」と力説され、トーヤ博士は、「原爆投下の歴史は全人類の教訓であり、核兵器の不使用を強く望む」と述べられました。
1995年7月、「核兵器のない21世紀を目指して」とのテーマで講演。
「抑止力としての核」というものは幻想であり、実際には核兵器こそ世界の安全保障の敵であると指摘。「核兵器のない世界」は実現可能であり、それを実現しなければ21世紀はない、と強く語った。
1908年ポーランド生まれ。ワルシャワ大学卒業。アメリカのマンハッタン計画(原爆製造計画)に参加。1944年、原爆開発を続けるべきではないと、同計画から離脱。戦後、「ラッセル・アインシュタイン宣言」(1955年)の起草に尽力。宣言の署名者の一人。1957年パグウォッシュ会議の創設に加わり、初代事務局長や会長を歴任するなど、核兵器廃絶運動を推進した。ノーベル平和賞受賞者。
2005年7月、「原爆投下60年—人間の安全保障の現状」とのテーマで講演。
核と戦争の廃絶には、青少年に「平和の文化」を教育することが特に重要である。この「教育による平和」を進めているのが池田SGI会長であり、被爆60年の今、SGIとともに、核のない世界の実現へ出発したいと呼び掛けた。
1925年インド生まれ。英国ケンブリッジ大学で遺伝学博士号を取得後、インド農業研究所所長等を歴任。1960年代に高収穫品種の開発・普及に貢献した「緑の革命」を推進。アジアの食糧危機を救ったインド近代農業の父とたたえられる。パグウォッシュ会議元会長。
2010年11月、「核兵器廃絶と南アフリカ」とのテーマで講演。
数々の抵抗を乗り越え実現した南アフリカの核兵器廃絶の歩みについて言及。その鍵となったのは、「人々の心の中の脅威をなくすこと」であり、「平和への対話を促進し、信頼を生み出すこと」であったと強調。そして、今こそ、世界の問題群に対して、青年が敢然と立ち上がってほしいと期待を寄せた。
1936年南アフリカ共和国生まれ。大学を卒業後、弁護士を経て国会議員に。1989年同国の大統領に就任。民主改革路線をとってアパルトヘイト関係法の全廃を実現。後に、黒人指導者マンデラ氏の同国大統領就任とともに副大統領となる。ノーベル平和賞受賞者。
2010年11月、「核兵器廃絶と持続可能な未来」とのテーマで講演。
パグウォッシュ会議とSGIは、戦後一貫して核兵器廃絶のために行動し続けてきた団体と強調。核兵器は非人道的、非合法なものであり、一日も早い「核兵器禁止条約」の制定が必要であり、これを実現するには「皆さんのような青年の力が必要なのです」と訴えた。
1938年スリランカ生まれ。同国最高学府であるトリニティ・カレッジで教育を受ける。外交官として、ロンドン、北京、ジュネーブなどでの勤務を経験。国連の軍縮研究所所長や国連の軍縮問題担当事務次長等を歴任。パグウォッシュ会議元会長。
2010年11月、「暴力のない世界を目指して」とのテーマで講演。
北アイルランド紛争の解決に奔走した経験をもとに、平和を創造するためには、暴力ではなく、一人一人の人間の心を結ぶ対話しかないと呼び掛けた。また、青年からの質問に答えつつ、「唯一の被爆国に生まれた皆さんは、核兵器廃絶を世界に訴える説得力を持っている」と、青年への期待を寄せた。
1944年、北アイルランド生まれ。北アイルランド紛争の渦中、妹とその子ども3人を亡くす。以降、平和運動に力を入れ、1976年に北アイルランドの平和活動家であるベティ・ウィリアムズ氏らと、草の根運動組織「ピース・ピープル」を設立。紛争停止と暴力反対を訴え、世界に波動を広げた。ノーベル平和賞受賞者。
2014年3月、「希望と生の価値のために」とのテーマで講演。
「原爆の子の像」のエピソードに触れ、広島で犠牲になった子どもたちの追悼のために、断じて再び、暴力の炎が人類に降りかからないことを祈りたいと語った。また「核兵器が地球上から姿を消す日まで、私たちは立ち止まってはならない」との信念を述べた。
1940年、コスタリカ生まれ。エセックス大学政治学博士号取得。コスタリカ共和国企画・経済政策大臣等を歴任。1986年に第43代同国大統領に就任。中米和平の推進に尽力。1988年に「平和と人類の進歩のためのアリアス財団」を創設。2006年には、第48代同国大統領に再任され、平和活動に尽力した。ノーベル平和賞受賞者。
No. | 日付 | 肩書(当時) | 講師 | テーマ |
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第185回 | 2022年5月 | ノルウェー・ノーベル委員会 副委員長 「国際平和と理解」 理事長 |
アスラ・トーヤ アレクサンダー・ハラン |
核軍縮の現状と核兵器禁止条約の役割 |
第184回 | 2021年8月 | 広島平和文化センター理事長 | 小泉崇 | 広島から世界へ 平和文化の潮流を |
第183回 | 2019年10月 | ネブラスカ大学リンカーン校 教授 | ケネス・プライス | 池田大作、ホイットマン、そして文化復興 |
第182回 | 2019年8月 | セルジペ連邦大学総長 | アンジェロ・ロベルト・アントニオリ | ※広島青年平和総会として開催 |
第181回 | 2018年11月 | 平和のためのヒロシマ通訳者グループ 代表 | 小倉桂子 | 世界の人びととつながる心 |
第180回 | 2018年10月 | 広島大学宇宙科学センター長 | 川端弘治 | 広島から挑むマルチメッセンジャー天文学 |
第179回 | 2018年10月 | 子ども宇宙アカデミー 代表・呉市かまがり天体観測館 館長 | いとうともこ・山根弘也 | 宇宙を知ることで気付くこと |
第178回 | 2018年8月 | 駐日コスタリカ共和国特命全権大使 | ラウラ・エスキベル・モラ | 土台としての平和 |
第177回 | 2018年3月 | アメリカ・バージニア工科大学 教授 | ジム・ガリソン | 池田SGI会長の新たな人間主義と平和思想ー私の所感 |
第176回 | 2018年1月 | SGI平和運動総局長 | 寺崎広嗣 | 核兵器廃絶へ SGIが広げる平和の連帯 |